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No.9 「海外では列車に乗って」 S. H. (比文'13)No.9 Riding Trains Overseas, S.H. (College of Comparative Culture 2013)

 ぎゅうぎゅうの満員モノレールに乗り込んでしまって、身動きがとれない。なんとか首をひねって、私は窓の外を眺めていた。見慣れない建物や木々たちが次々と横切ってゆく。不意にモノレールが大きく揺れて、隣の人と肩がぶつかってしまった。咄嗟に「すみません」と日本語で謝ってから、ふと車内に目を向けると、ほとんどの女性が頭にスカーフをかぶっていることに改めて気づく。そういえば、聞こえてくる会話やアナウンスも漂っている香りも温度も湿度も、当たり前だけど日本と違っている。このときやっと、自分は今海外にいるんだなあ、と強く実感できた。

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 このように、街中を徒歩で散策するのももちろん楽しいのだが、私にとってより異国を感じられるのは列車に乗っているときなのである。例えば、国によって車内でのドリアンの扱い方に差があるのもおもしろい。シンガポールでは、電車内にドリアンを持ち込むのは禁止!という注意書きがあちこちに掲示されている。一方、ミャンマーの鉄道では、禁止どころか車内販売でドリアンを売っている人がたくさんいる。香りは気にならないらしい。ほかにも、国によって車内で通話・会話していても問題なかったり、テレビ広告の音が出てたり、いろいろな違いが見つかる。列車は、狭い空間だからこそ様々な発見ができるのだと思う。

 一方で、日本との共通点も発見できる。また満員電車の例でいうと、クアラルンプールで満員電車が次の駅に到着し、ドアが開いたときの駅のホームで待っていた人たちの絶望した表情を見たとき、日本と同じだな、満員電車は万国共通で苦しいものなのだな、となぜか感動してしまった。また、冒頭でも述べたとおり、満員電車は現地の人々に囲まれるので、日本と違う雰囲気や香りがより身近に感じられておもしろい。

 このように、列車内は様々な異文化を乗せた魅力的な空間であり、自分が異国にいること、異文化に囲まれていることを最も実感できる空間ではないだろうか。だから、またいつか海外に行ったとしたら、何よりもまず列車に乗ろうと思う。たとえそれが、ぎゅうぎゅうの満員列車であったとしても。

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次は、ウォンバット大好き、一度話し出すと止まらない、15年入学のS.R.さんが担当します!

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