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No.13 「ルンバの“愛らしさ”」 (比文'15 林 孝文)No.13 The Cuteness of the Roomba (College of Comparative Culture 2015 Takafumi Hayashi)

ここ数年で浸透し始めたお掃除ロボの代表格「ルンバ」の魅力は、単に掃除を代行してくれるだけでなくその“愛らしさ”にあるようだ。
ルンバはアメリカのiRobot社が開発した製品で日本でも大変な人気を集めているが、次のような批判もたびたび聞かれる。
『ルンバは同じ場所を何度も往復したりして作業効率が悪い。』

この原因はルンバの使用するアルゴリズムにあるようだ。iRobot社は被災地や戦地での復旧作業にあたるロボットも手掛けており、ルンバの使うアルゴリズムは地雷除去ロボの使うそれと同じだそうだ。すなわちセンサーで障害物を認知しながら柔軟に動きを変えるランダムナビゲーションを搭載しており、その結果障害物などにも比較的に強い。他方、他社のお掃除ロボの多くはシステムナビゲーションに基づいて、部屋のレイアウトに対して規則的な動きをすることで無駄な作業を減らしている。しかしこの場合だと複雑な家具の配置などに対して躓いたり引っかかってしまうことも多々あり、掃除のクオリティに関していえばどっちもどっち、といったところだろうか。

しかし先述した通りルンバ独自の魅力はむしろその“愛らしさ”にある。no13 hys

より具体的にユーザーの声を聞いてみると、この“愛らしさ”は“生き物らしさ”と言い換えられる。

私も実際にルンバを見たことがあるが、本当の生き物のように考えながら動いているように見えた。障害物の前に来るとどうしようか、と一瞬の間があって判断を下し、動く。時にはおんなじところを行ったり来たりしてみたり、対処できない障害物があった場合には悲しげな音を出して助けを求めるその様子は本当に愛おしい。ルンバが掃除しやすいようにこちらが部屋をきれいにしてあげたくなるほどだ。

近年のロボット開発は日進月歩の発展を遂げており、街中で人型の話すロボットを見かけることも少なくない。しかしまだまだ人の感情に強くはたきかけることには至っていないだろう。直接人に話かけるようプログラムされたPepper君のようなアプローチも面白いが、単に珍しい、という印象止まりなのは私だけだろうか。

人間が何に対して愛着を持つのか、という問いにルンバの“生き物らしさ”は示唆に富んだものではないだろうか。懸命に掃除するルンバの姿に、ふとそんなことを考えた。

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