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No.16 「美しい思い出だけじゃないけど」小笠原健太(比文'16) No.16 Even Though Not All Memories are Beautiful Kenta Ogasawara (College of Comparative Culture ’16)

 先日、札幌の実家に帰省した際、昨年の浪人中の冬、休憩時によく歩いた道を散歩した。

  

雪が解け景色はすっかり変わっていたけれど、一年も前のことでもないけれど、懐かしいような不思議な感覚であった。

道中には一つ公園がある。当時は雪で入れなかったが、勿論そんなことはなく、木が茂り日陰ができ、涼しそうだった。なんだかよくわからない有形文化財もある。見学は自由らしい。当時はたまたま調整中で入れなかったが、もう調整は終わっていた。だが、どちらにも寄らず、散歩をつづけた。

なんだか、歩いている途中に当時の考えていたこと、今では忘れていたことや、大したことではないと思っていたことまで、ぶわっと、頭に流れ込んできたから。その記憶が、以前しなかった寄り道によって、なんだか崩れてしまう気がしたから、入れなかった。

  

本当に去年の記憶なんて、とりとめもない、なくなっても良いようなものだと思うこともあった。でもそれは確かにあり、ふとした時に浮かぶもので、自分の一部であった。そして去年のことだけじゃない。今までには、なんだかつらい状況になり、死んだほうがまだマシではと思ったこともあったし(そんなことはないのだけれど)、自分のしたことが嫌で嫌で嫌で仕方なくなることだって何度もあった。でもそんな記憶も、心のどこかでは壊れてほしくないのかもしれなくて、それは今の私がそんな記憶につくられて生きているからなのかな、なんて面倒くさくて、よくわからないことを考えた、そんな散歩だった。

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最後に散歩の終わりに考えたことを書かせていただく。

今、私は幸い、友人や先輩、家族のおかげで、きっと良い生を歩ませてもらっていると思う。美しい思い出だけじゃないかもしれないけれど、今、そしてこれからの大学生活の記憶が、いつか未来の自分を素敵に彩る、そんな日が来ることを願うばかりである。そして、贅沢ではあるが、自分の存在や行ったことが、誰かの記憶に残り、そしていつかその記憶が誰かを彩るようなことがあれば、それは、きっと、私にとっての、このうえない幸せである。

  

* * *  

 

次回は、すっぴんジャージが当たり前?なアクティブ女子の(K.O.)さんです!

 

 

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