1. ホーム
  2. 学生のページ
  3. リレーエッセイ
  4. No. 23「いくつになっても」A. S.(比文'15)

Students’ Page学生のページ

No. 23「いくつになっても」A. S.(比文'15)No.23 No Matter What Age A.S. (College of Comparative Culture 2015)

目を覚ますと、隣で健やかな寝息を立てる、あたたかくて柔らかくて…

健やかなるときも病めるときも、黙ってそばにいてくれる…

そう、ぬいぐるみです!私は幼いころからぬいぐるみが大好きで、大学生になった今でもつい集めてしまいます。「いい年してみっともない」とお叱りを受けることもあるのですが、どうにもやめられず…(笑)実際にぬいぐるみが寝息を立てるなどということがあるはずはないのですが、自らの体温で温もったぬいぐるみはまるで生きているかのよう。安心感と幸福感を与えてくれる存在です。なぜこんなにもぬいぐるみに惹かれるのか、それはかわいいという理由に他ならないのですが、そもそも「かわいい」とはどのような状態を指す言葉なのでしょうか。

比較文化学類のとある授業で、「かわいいとは何か」という問いを投げかけられたことがありました。この問いについて授業内で答えを出すことはできず…もしかしたら一生かかっても答えは見つからないかもしれませんし、普遍的な「かわいい」なんてものは存在しないのかもしれません。それでも確かに私たちは様々な対象に対して「かわいい」と感じながら生活しています。同じサークルのあの子、平砂宿舎の野良猫、そしてぬいぐるみなどの無機物についても…

 かわいいという言葉の語源をたどってみると、もとは「愛らしい」という意味のほかに「不憫である」「いたわしい」というような意味をもつ言葉であるという説があるそうです。「愛らしい」という意味は今日と変わりませんが、「不憫である」=「かわいい」というとあまり馴染みがないながらも少し思い当たるものがあります。もしかすると、「かわいい」という言葉は庇護欲と密接なかかわりをもっているのではないでしょうか。

すみっこぐらしというキャラクターがいます。一見すると何も考えていなそうなシンプルな顔立ちが特徴のキャラクターですが、彼らは実は物悲しい過去を背負っています。食べ残されたエビフライのしっぽや、捕まることを恐れてトカゲのふりをする恐竜の生き残り、ブーケになることを夢見る雑草など、ちょっぴりせつないキャラクター設定が特徴です。なんだか守ってあげたくなるような…(笑)私たちすみっこぐらしのファンはこの少し哀れっぽいところに惹かれているわけです。でもこの守ってあげたいという気持ち、いわゆる庇護欲というのはとてもエゴイスティックなものだという気がしてならないのです。

「かわいい」という言葉には庇護欲を誘うという一面があるということ、庇護欲というのはエゴイスティックなものなのではないかということ、以上を考慮するとぬいぐるみを愛でるという行為は、行き場のない庇護欲のはけ口でしかないのではないか、なんて思えてきます。

 言い訳がましいことを書き連ねてしまいましたが、本当は手放しで好きなものを「好き」と言いたいだけなのかもしれません(笑)比文は趣味に対して誠実かつ寛容な方が多くて、趣味を追及したいと考えている人にとってはこの上ない環境であると日々実感しています。

 

 お目汚し失礼いたしました!次回は美味しいものをこよなく愛する魔性の女、4年生のFAさんに担当していただきます!飯テロにはご注意!

アンケート

筑波大学 比較文化学類ホームページをより良いサイトにするために、皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。
なお、この欄からのご意見・ご感想には返信できませんのでご了承ください。
In order to improve the website of College of Comparative Culture at the University of Tsukuba, we would like to hear your opinions and thoughts.
We cannot respond to your opinions and thoughts. Thank you for your understanding.

Q.このページはお役に立ちましたか?
スマートフォン用ページで見る