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恒例企画「筑波に来て1年、どうですか?」比文'17生による座談会Annual project: How was your first year at Tsukuba? A discussion presented by the College of Comparative Culture (17 students)

2018110日、昨年度に続いて比文1年生の座談会が行われました。参加は4人。もともの知り合いということもあり、和やかに話し合いが進みました。

自己紹介

――ではまず自己紹介からお願いします。

武田:比文1年の武田です。出身は埼玉県で、宅通(自宅から通学)です。とにかくいろんなことを学んでみたいと思って比文に来ました。今年は哲学や文化人類学、芸術系など様々な講義に出ました。

飯沼:同じく飯沼です。長野出身で、一浪して比文に入りました。筑波に来たのは、一人暮らしをしてみたかったのも理由ですね。それと音楽が好きだったので、比文を選びました。宿舎って寮みたいなところかと思っていたので(笑)、はじめからアパートを借りて住んでいます。

池田:池田です。茨城県の古河市出身です。中学の頃から県内の大学に関心があり、最終的に筑波大を志望しました。筑波のなかでいろいろ迷ったのですが、高3になって比文志望になりました。理由は…名前がカッコいいから、というのも(笑)。まだやりたいことは決まっていませんが、先輩に聞くと、幅広く何でもできそうなので、楽しみです。宿舎に住んでいます。

森:森です。徳島出身です。高校時代の周囲の人たちが近いところ、関西や四国の大学に多く進学するなか、自分は今まで聞いたことのない土地へ行ってみたいと思って、筑波に来ました。全国からいろんな人が集まってくる場所で、いろんな人に会って、いろんな人間性にふれて。縛られずにやってみたいなあと。比文は、人文系のなかで「何でもできる」というのが魅力で、実際に入ってみたら、北海道から沖縄まで全国からきているし。しゃべっている言葉も違うし、とても刺激的です。taidan18-02

大学に入った!

―――大学に入った、っていう実感はどこでありました?

武:オリエンテーションが終わって最初の授業ですね。人文の哲学で、授業中に学生もバンバン発言していて、発言の考えの深さも高校までと大違いで、カルチャーショックだった。

飯:あ、僕も同じ授業を取ってた。誰かの考え方に即して、でなくて自分はどう考えるか、それが求められる授業だったよね。比文でも、どの授業も、答えを自分たちで見つける、作る、探してみるという姿勢が求められていると思う。

森:僕は授業よりも前の、時間割を組むタイミングだったな。高校までのように、全て決められているんじゃなくて、自分で選んでいいんだ、と思った。

武:自分の高校では3年の時に単位制だったけど、確かにはじめての時は新鮮だよね。

飯:ずっしりした開設授業科目一覧を手に取って、ここに授業がすごくたくさん書いてあるけれど、これを取ろうと思えば全部とれるんだ、と可能性が広がっているのを感じた。

池田:逆に、なんもやんなければ暇というか、誰もやってくれないから、自分で動かないといけないよね。そういう意味で、授業への考え方が変わった。

飯:別の学類が開講している総合科目(*1)で、オムニバスだったんだけれど、ある回に出ていた先生の名前、見覚えがあるなあと思ったら、高校の時すごくよく使った教科書を書いていた先生だった。

皆:おお~!

飯:その先生の授業を受けているだ!というのはすごいと思った。

池:スケールが違うよね。

飯:比文でも、ふだんふつうに接しているけど、その分野ではすごい著名、っていう先生もいるよね。

池:僕は地元だから筑波に来た、という実感はあまりないんだけど、でも全国から人が集まるところに来たんだなあと思う。筑波大が近くにあってよかったなと(笑)。

森:留学生もいろんな人がいるよね。大学入って初めてといえば、筑波ではじめてイスラム圏の人と会った。そういう意味では、さっき「北海道から沖縄まで」と言ったけど、実は地球規模だった。

 

[*1] 学内全体に向けて開かれている、教養的な授業。

 

授業は幅広いから、自分の方向性で

taidan18-01――どんな授業を受けていますか?

武:私は、文人(文化人類学コース)か先端(先端科学コース)を取っています。それと宗教、哲学も。

池:僕はフィー文(フィールド文化学領域)と、表現(表現文化コース)が多いです。

飯:僕は文創(文化創造論コース)か先端文化かな。音楽のことをやりたいので、その方向があう授業を取っています。基本はそちらで、ちょっとだけ文人や民俗の授業も。

池:僕はまだやることがきまってないから。文地(文化地理)でいいかな、と思っていたけど揺れてます。文人とか情文(情報文化学)とか。

武:私も揺れてるけど、先輩に、表象文化人類学というのがあると聞いたから、そっちに収束しつつあるかな。

森:まだ決めてないです。もう決まっている人はすごいなと思う。1年の春学期も秋学期も、とりあえず全部の概論を取ってやろうぐらいのつもりでいろいろ取りました。テク文(テクスト文化学)とか、文化地理とか。だから今日のメンバーみんなとどこかで会うね。

武:決めててもいろいろつまみぐいしてみるかも。比文はそれが許されるから。

――他学類はどうですか?

池:他学類の授業はあまりとっていないけれど、体専(体育専門学類)のはひとつ取っているな。昔からスポーツ好きだったから。

飯:僕は比文の哲学は取ってないけど人文の哲学は取ってる(笑)。人文・文化学群内が多いかな。でもひとつ芸専(芸術専門学類)のを取ってます。方向性が決まってるので、逆に比文内ではあまりいろいろ取っていないかも。

池:取ってみたら思っていたイメージと違う、ということもあるよね。

武:確かに、前から関心があったので総合科目で国際学類のを取ってみたけど、受けているうちに、ちょっと違うかなと思った。

比文らしさ? 大学らしさ?

森:僕は5月から7月頃、言語に関心が出てきて、これをやるなら人文学類か日日(日本語日本文化学類)にいくんだったかな、と悩んだ。やどかり祭(*2)で踊りながら、実は悩んでたんだよね(笑)。でもいまは、同じテーマでも、比文ならではの視点から、他の学類ではできないことができるかも、と思うようになった。

池:比文らしさってあるよね。人文と比文では同じものでも使う要素が違ったり。

武:哲学も、人文と比文両方にあるけれど、アプローチが全然違う。人文は議論を積み重ねて積み重ねて…という感じだけれど、比文はいろんな前提を取っ払ってしまう印象。

池:僕も一つだけ比文の哲学の授業を取ったけれど、めちゃくちゃ自由だった。授業の場所も、ここ(教室)でやる必要はない、と先生が言って、誰かの提案で芝充(*3)(笑)。行ってみたらまだ肌寒かったけど(笑)。大学の授業は自由だなと、あの授業で実感した。高校でありえないよね。何かしら問題になっちゃう。 

池:体専の授業を受けて、スポーツでも比文っぽい見方を自分でしてるなと思った。スポーツでもテーマを見つけようとすると、比文で学んだ観光とかを考えてしまう。他の学類とは違うかもしれない。

武:この事例についてこう見る、といわれると、すぐ、じゃあ他の見方はどうなんだろう、と思ったりするのが比文っぽいよね。自由度が高くなる。

池:理系で決まった答えを出されると、かえっていろんなことを考えちゃう。それが人文系の学問の影響かなと思う。

飯:総合科目で理系の授業も受けてるけど、他学群の授業を受けてみて、やろうと思えば何でもできる、体専とか医学、物理なんかでやってることを無理やり比文でやろうとしても通じるんじゃないかと思った。例えば、総合で物理を取っていて、初回は波についてで、音の話も出た。数式は分からなかったけど(笑)。比文の文化創造とか音楽文化論では、音の高さとか音色とかを、音楽家たちがどうだったかを勉強するのに対し、物理は科学的に定義する。物理から見えるものを音楽文化論で見たら、また違ってみるんじゃないかな。森林科学と民俗学とか、理系の学問をちょっとつまんで、こっちに(無理やり)持ってくることもできる。だから比文は何でもありになれるんじゃないかな。

武:でも、広げすぎると収拾がつかなくなっちゃいそう。

池:確かに。卒論とかも、まだ想像できないなあ。先輩の卒論を見ると、自由でいいなあと思うけれど。

飯:同じ学類のなかに文学も地理も宗教もアートもあるし。

森:比文あるあるで、「何するところなの?」と聞かれて答えられないよね(笑)。

皆:あー(笑)。

飯:人によって違うけど、僕はこう、みたいに「人によって違う」と言うなあ。

森:結局文学部なの、と聞かれるけどなんかそれは違うよね。これだけ細分化されて学生が全然別の方向を向いているのは面白い。

武田:比文迷子ってことばもあるし(笑)。

森:比文の案内とか、クリアファイルの絵があるじゃない。あの背景は地図みたいになってて16領域が書いてあるけど、いまは自分はこの川に沈んでるんだなと・・・。早く陸に上がりたい(笑)。

池:比較っていうのも何比較してるんだろう。思想文化の井川先生は、比較をプッシュしていたけど。比文て何だろうって、比文に入っている人も考えるよね。

飯:文化を対象としてる時点で混沌としてるよね。

森:文化って何っていうのも、即答できないよね。

池:でもまあ、考えれば考えるほどわかんなくなるのが大学。

飯:授業でも、受けはじめよりも期末レポートの時の方が分からないことが深まる感じがある(笑)。

森:課題とかでも、何か書いていると頭のなかで「それでいいの?」「別の見方もあるんじゃないの?」とか声がして書けなくなっちゃったり。

―――まずはそれでいいんじゃないかな? せっかく大学に来たんだから、今までの自分では分からない、知らないような世界に自分を開いてく、ということで。

 

[*2] 5月末に行われる、学生宿舎のお祭りで、1年生が屋台を出したり御輿を担いだりする。

 

[*3] 筑波用語。図書館北側の、通称「石の広場」の北側から池に向かって広がる斜面の芝生にグループで座って楽しくおしゃべりしたりすること(リア充とかけている)。

 

もうすぐ留学行きます

taidan18-03池:実は2月からインドネシアに留学に行くことになってます(ボゴール農科大学)。そのための授業で、ASEAN諸国から来ている450人ぐらいの学生と一緒に受けるものがあって、そこでは英語でのディベートがあって。日本人も数人いるからそこでグループも作れなくはないんだけれど、あえてバラバラで。その結果、いろんな国の人と友達ができたけど、これは高校時代では考えられなかったな。やろうと思えば何でもできるのが大学だけど、その反面、なんかやらなきゃ、という危機感もあるなあ。

飯:確かに、自分で動かなきゃ何もできないと思う。留学とか、外国の友達とかも。

池:高校まででももちろん英語の勉強してきたけど、いざしゃべろうとすると全然しゃべれないんだよね。文法も会話ではパッと出てこないし。だから経験が大事だと思って、留学を考えたんだよね。授業のディベートでは嫌でもその人たちとしゃべらないといけなかったし、だんだん仲良くなってきて、週1回、グロビ(*4)で「アセアンカフェ」というのをやっていて参加したりしたけど、実は授業の方が楽(笑)。一応話すことが決まっているし。普通の日常会話になるとかえってしゃべれない(笑)。でも、秋AB(*5)やったら、自分でも実感できるぐらいしゃべれるようになった。

皆:おお~~!

武:私は高校の東京に行っていて、イスラムの留学生もいたし、街にも外国人はたくさんいたから、慣れていると思っていたけど、大学ではふつうにしていると交流する人が限られてきてしまう。

池:広くやろうと思えば高校の比じゃないけれど、強制じゃないからね。居心地がいいから、ついいつもあう少人数のグループで固まっちゃう。最近は留学のことを考えるからか、日本にいるのが居心地よかったのかなあと思ったり。

 

―――留学のきっかけは?

池:文化地理の授業ですね。もともと自分と言ったらこれ、という何かが欲しいなと思って探していて。生き物、昆虫が好きで、環境系の授業を取っていて、そこで出てきた昆虫食に興味を惹かれて、本読んだりしました。その流れで留学のことも知って、食糧科学技術が有名な大学だということで、いいなと。インドネシアにも昆虫食があるからそれも見られるし、食糧技術も学べるなと。このままだと曖昧なままだから、何か武器が欲しいなと思い立ちました。留学は大きいなと。怖いけど。

武:壮大!

池:言葉にするとそんな感じだけどね(笑)。でも周りでも留学する人がいるからね。普通にすごいなと思ってて。

飯:普通に合ったり話したりする人だけど、ちゃんと話すとそんなとこ行ってたの、そんなこと勉強してたの、みたいな人が多い。比文はすごいなと思う。

池田:何かしらみなすごいよね。

森:そもそも大学が自主性を重んじるから。好きな方向に行っていて、それを比文は推奨している。学生と語ってもらっても全然と違う。

池:新歓でも、感想は「みんなキャラが濃い!」。みんな何かしらのオタクだよね(笑)。

森:それぞれの独自性があるよね。

武:フレセミ(*6)でも一人一人発表の場があったけど、あれはよかった。

森:武田さんたちは比文プロジェクトでもLT(*7)やってたよね。あれよかった。いろんな学年の人が集まって、ムーミンからシャンプーまで、それぞれの独自の方向性について聞けた。池田君も、留学から帰ってきたら経験を話してよ。

 

[*4] グローバルビレッジ。一般学生と留学生の混住シェアハウスタイプ.の学生宿舎。

[*5]筑波大では春・秋の2学期制(各15週)で、それぞれの学期がABC3モジュールに分かれている(各5週)。授業はその枠組みで開設されている。

[*6]フレッシュマンセミナー。1年生の春学期にある、ホームルーム+基礎演習のような授業。

[*7]ライトニング・トーク。ひとり持ち時間数分という短い発表の場。比文LT参照。

サークル 

―――サークルはなにかやってますか?

池:ラグビーやってます。みんなが何やってるかはあまり把握してないな。

飯:高校で部活をたくさんしてたので、そういうふうに時間を制約されるのに疲れた(笑)。だから大学4年は自分の好きなようにと思って、どこかに入って縛られるより、自分で作っちゃえと。今はT-ACT(*8)で音楽系の企画としているのと、演劇の劇団に1つ参加しています。でも主軸は自分一人で音楽をやっている。

武:飯沼くんと同じT-ACTと劇団、それと秋までは実委(学園祭実行委員会)。中・高はずっと吹奏楽をしていたので、大学では音楽を別の方向でと思って、ケルト音楽と、作曲をするサークル(DTM-lab)。

森:僕は高校までは部活の種類が少なかったから、大学入ったらいきなり200個ぐらいあったから、この機会にいろいろ手を出してみようと思った。実委と、アカペラサークル、それと放送系のサークル。

池:僕も最初目移りした。今まで文化系サークルは入ったことがないのでいいかなと思って探した。スポーツも、大学からはじめるような競技もあるし。でもこのままだと選ぶので時間食っちゃうと思って、3つに絞った。いま2つは幽霊部員で、ラグビーだけ。

武:サークルだけじゃなくて、学外活動もやってみたいなと思ってて、同級生の紹介で、外部の演劇の団体にも入ってます。それからボランティアにも興味がある。宅通で行き来してると、つくばは閉じてるな、と思うところがあって。居心地いいけど、外にどういう人がいるか知るのもいいな、と。

森:確かに意識しないと外に出ないよね。「筑波は箱庭だ」と言ってた人もいた。

武:インカレないのもちょっと残念だよね。東京の友達に聞くとふつうにインカレに23個入ってたりするから。

 

[*8]つくばアクションプロジェクト。学生企画を大学が支援するという制度。http://www.t-act.tsukuba.ac.jp/

 

つくば生活

―――宿舎生活はどうですか?

池:最初は学校のことで手いっぱいで、外食とかが多かったけど、夏休みを越えてこのままじゃまずいと自炊をはじめて。今時、風呂・トイレ・炊事場が共同の宿舎なんてあまりないから、宿舎でやっていければ、どこでも生活できるんじゃないかと思って。自分を追い込む、っていうと言いすぎだけど。それで家事を積極的にやるようになったけど、卒業後の訓練になってるなと思う。実家に戻るとすごく楽で、帰りたくなくなっちゃって(笑)。ひとり暮らしして実家のありがたみが分かった。

森:でも宿舎は、一人暮らしであって一人暮らしでないところもあるよね。11月末にアパートに引っ越したけど、すごく寂しいときがある。宿舎では、課題とかやってるときは部屋に籠りがちだけど、それでも隣も比文生だったり、周りの壁が薄いからもあるけれど隣の人の声が聞こえたりとか、ちょっと外出れば学生がいたりするし、やっぱり共同生活だよね。これは入学時に知り合いを増やす手助けになったなと思う。

飯:僕は4月からずっとアパート。浪人中も実家を出ていたのでホームシックはあまりないけれど、夜に一人で音がしないときとか、すっごく寂しくなるときがある。

池:そういう時は宿舎でもあるよ。でもまあ、宿舎は特別だよね。アパートはこれからの人生でもあるだろうけど。

 

―――バイトはしてますか?

池:留学があるから、いまはしていないです。学内の被験者バイトとかはしてるけど。

武:つくばで、駅の近くの飲食店で働いてます。自給がよいけどなかなか厳しく教えられてます。でも母世代のパートもいて、学校と違う人間関係ができて面白いです。ホワイトバイトだからいいけど(笑)、東京の友達と比較すると、稼げるお金が全然違う。

森:稼げるお金は四国ともそんなに変わらないね。僕は大学近くの居酒屋でバイトしているけど、いろんな人が来る。サークルの先輩とか、教員とか。大学のなかでその人たちと接するのとは別の側面が見られて楽しい。

飯:僕は大学から離れたところのカフェで働いてます。そこは、働くということがどういうことかを考えながら働く場所で、一個一個のふるまいの意味とか、自分のスキルアップとかをいつも考えながらやっていくところ。だから、他の活動とかでも、もっとよくするにはどうしたらいいのかを考える手がかりになってる。でも働くって大変なんだなと(笑)。

池:バイト経験がないから、自分の働きでお金が支払われる経験がないので、やってみたいな。自立には自分でお金を稼ぐのも大事だよね。

飯:とはいえ、振込だからあんまり実感ないけど(笑)。

武:使うお金のけたも高校までと全然違うよね。

森:節約も浪費も、やろうと思ったらどんどんできるよね。

池:僕は奨学金で全部やってるけど、2万円弱でひと月暮らしたことがある。はじめはやりくりに慣れるまで大変だったけど、今はもう大丈夫。

 

この一年で印象に残っていること

―――大学入って、印象に残っていることって何ですか?人でも、授業でも。

武:毎日驚くことが1つはありますね。

飯:授業では2つあります。春に、23年以上の授業の音楽文化論に出てみたんですが、ミュージカル映画を見る授業だった。そこで有志はレポートの代わりに発表してよいということになって、丸々1回分、インド映画の発表をした。大学でもプレゼンの機会は何回かあったが、ひとつの作品を分析して、ポイントを絞って、1コマ話させてもらったのは楽しかったし、いい経験になった。人に勧められて取った授業で、偶然だったけど。もう1つは表現文化の入門演習。あれは鍛えられた感がある。授業を通してアカデミックライティングを書き上げる。TA3人いて、アドバイスをもらいながら、レポートを書くのに必要な要素を集め、書き上げて、発表して、書き直すという授業で。今でもレポートを書くなかでいい経験になったなと思う。日本語でもよかったけれど英語で書いてみた。1年の春から英語でレポート書いたのはいい経験になった。

池:その授業、僕も出たけど、レポートとか発表の仕方とか、大学の基礎の部分を教えてもらった。ピア、っていうのもキーワードだったけど新鮮だった。TAさんも相談しやすかったし。

武:私は文化科学領域入門演習。ロラン・バルトの『明るい部屋』というすごく難しいテクストを、毎回担当を決めてちょっとずつ読んでいく授業だった。11文をそこまでこだわって読んだのも初めてで、よい経験だった。中間レポートを授業時間内で書き上げるのも大変だったし。最終レポートもきつかった。でも友達で、最終レポートを脚本で出した人もいて、その発想はなかったな、と驚いた。

飯:テストとかでも、自分がどう思うかを問われるよね。授業で何を勉強したかではなく、そこから自分がどう考えるかを求められる。

池:そう。だから授業受けながらでも、あ、これレポートで使えそうとか考えたりする。

飯:大学のテストってどんなかなと思ってたけど、論述が多いたね。さすが、入試でも論述が多い大学だなと。

武:そうそう、納得した(笑)。

森:僕も毎日友達や授業で発見がある。はっきり影響されたというわけではないけれど、春水曜1限の情報文化概論は、けっこう話題が飛んで、結局何が言いたいのか分からない中でテストに臨んで、自分でもわからない中で提出したら意外と評価よかった。でも上級生で、いまになってようやく分かってきた、と言っていた人もいた。だから、今わからないことでも、自主性を持って勉強していけば納得のいく答えが得られるのかなと思ったりしたし、またさらに勉強しないとモヤモヤしたままかなあと思った。

池:僕もそれ受けて面白かったから情報文化論IIを取ったけど、これはこれで全然違う授業なんだよね。飛び込んでみないとわからないし、思わぬヒットもある。

 

抱負と、高校生へのメッセージ

―――では、そろそろ時間なので、今後への抱負と、(読んでいるかもしれない)高校生へのメッセージをお願いします。

池:最近忙しかったけど、ふと、これまでで今が一番楽しいな、と思った。大学に入ってそういうふうに思えている。現実的には、自分たちがどう役立つだろうとか、生き残りには語学かなとか話したりもするけど。でも今が一番楽しいし、在学中に、やり残したいことが無いというようにしたい。高校生には…受験で忙しいだろうから、まずはそれ頑張って、大学入ってから考えてもいいんじゃないかな。

森:キャリアとかなんとかあるけれど、自分は良くも悪くも享楽主義者だな、と思う。今その日の喜びを大切にしたい。大学に来て、今まで来たことのなかった土地に来て、やったことのない学問を学び、出会ったことのない人とふれあうのが楽しい。もっといろんな人と出会ったりして、こういう楽しさを続けていきたい。高校生には、とにかく今は勉強を頑張って、外に出てみようと言いたい。地元の狭い世界を出て、新しい発見をしよう。

飯:自分が受験生の時、大学のイメージは、基本的には一人で行動して、人間関係がちょっと高校より希薄、表面的かなと思っていた。そこからすると、比文は想像以上に仲がいいなあと思う。キャンプ行ったりもするし。この正月に、大学に入ってからほぼはじめての帰省をして、成人式も出たけれど、今一番会いたいのはつくばのメンツだなと思っちゃった。比文は思ったより楽しく過ごせるところ。あまり人と話すのが得意じゃない、人見知りの人も、なんだかんだ比文では楽しく生活できる、自然にしていられる環境だと思う。だから大学入った後のことはそんなに心配する必要はないよと高校生に言いたい。

武:これから先、勉強するうちに自分の専門も決まってくるだろうけど、広く浅くを大事にしたい。それが比文に入った意味だと思うし。そして学内外の人とのかかわりを大事にしたい。高校生へは、大学でいろいろ議論したりするとき、自分の今までの人生を踏まえて答えることが多いので、いまの一瞬一瞬を大事にして、充実した高校生活を過ごしてほしい、と思う。そうしたら次につながっていくから。

 

―――みなさん、どうもありがとうございました!

(進行・構成:木村周平)

 




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