なんだか鼻の先がムズムズして居ても立っても居られない。未知の世界に足を踏み入れた時、お気に入りの古着屋さんで可愛いものを見つけた時、「〇〇禁止」の表示を見た時、面白い話を思いついた時…私は鼻の先がムズムズするようなくすぐったい感覚に襲われ、後戻りはできなくなってしまう。ムズムズしてしまったら最後、誰に何を言われても効き目はない。誰しも経験したことがあるのではないだろうか。見つけてしまった時思わず漏れる「うわあ〜」。あのくすぐったい感覚はたまらない。

 忙しかったり心に余裕がなかったりする時、私たちの鼻は鈍感になるように思う。高校時代、部活動や勉強の成績が伸び悩み行き詰まっていた時期、思えば毎日適当なジャージを着ていたし趣味に割く時間はほとんどなかった。ひたすら目の前の問題に頭を抱えてあくせくしていたように思う。そんなとき、高校のそばにある美術館で開催されていたピカソ展が終了間近だと聞き、なんとなく１人足を運んだ。作品を鑑賞しながら日常から離れあれこれ思索した。同時に閉じていた何かが開くように、自分の感性が蘇るのを感じた。そこからスランプを脱していったように感じている。直接的にピカソが私の問題を打開するヒントをくれたわけではない。しかし確かにあの後、問題は解決に向かったのだ。

 皆さんは日々どれだけくすぐられているだろうか。余裕のなさからあの鼻がムズムズする感じを忘れてしまっている人はいないだろうか。その点で大体の大学生というのは、鼻先を常に敏感にしておけるほど時間を持て余している。あり余る時間を使い、直感・興味の赴くままに行動できる。私の周りは鼻をふくらませ目を輝かせた大学生でいっぱいだ。

 私は昨年の夏、中東に旅行に行った。両親は猛反対で、そんな危険なところに行くんじゃない！の一点張りだった。けれども私の好奇心は完全にくすぐられていて、絶対に行く！の一点張り。私は説得するために16ページに及ぶレポートを作成した。両親は私の動機や旅先の状況を理解し、仕方なく許可してくれた。私は今、新たな旅の誘いに惹かれている。それもまた変わった旅先…。いつも心配をかけてごめんね、残念ながら私の鼻は最高にムズムズしている。

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バトンを渡してくださったNさん、ありがとうございます！次回は現在モロッコに留学中のTさんです。アラビア語を始めたばかりの時たくさんお世話になったとっても優しいお姉さんです。お楽しみに！

• 2018年2月9日
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