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No. 30「なにげない共通点」CI(比文'16)No.30 A Nonchalant Common Point CI (College of Comparative Culture 2016)

みなさんは「インシャ―アッラー」という言葉をご存じだろうか。これはアラビア語で「神が望むなら」という意味で、未来のことを語るときに使われる。例えば、アラブ人同士で待ち合わせの約束をするとき、「明日の○○時に会おう。」というと、「インシャーアッラー」と言われることがあるそうだ。すでにお分かりだろうが、「神が望めばその時間に向かう」ということなので「必ず行く」という約束にはなりえないのである。つまりそういわれた暁には遅刻や、来ないなんてこともあり得る。このことを筑波大学のアラビア語の授業で聞いた時には、「なんだそれ、テキトーだな、日本と約束の概念が違うな」と皆で笑っていたが・・・実際に使われると大変困るのである。

というのも私は今、交換留学でアフリカ北西部にあるモロッコに来ている。モロッコはイスラム圏で第一公用語はアラビア語。もちろん「インシャ―アッラー」が日常会話でちょこちょこ、いやバンバン使われている。あれは昨年の学期末のことだった。冬休み中は学生寮から追い出されてしまうので、カギを受け付けに返却するチェックアウトという手続きが必要となる。私はチェックイン最終日の朝9時のバスに乗って友人宅に向かう予定だったので、何時からチェックアウトできるのか前日に確認することにした。答えは「8時からできるよ。私の同僚が8時にここにいるよ。インシャ―アッラー。」ん?最後なんて言った?「8時からですよね?」三回も聞き直したが三回とも「インシャ―アッラー」。くそ、困るぜ。なぜなら私が明日乗るバスは大手会社CTMの長距離バス。一日一本しかない上に、「出発時間の30分前に来てね。遅れたら乗せない。」と言われるくらい時間に正確なバスなのである。バス停まではタクシーで10分、タクシー乗り場までは歩いて15分。誰がどう考えても8時にチェックアウトできなきゃとても困る。一抹の不安を抱えながら迎えた翌日。受付には誰もいません。やっぱり!モロッコの人基本的に朝嫌いなんだから8時始業はきついよね!!見渡すと周りには同じバスに乗る予定の学生が数人。ということで私たちはプランB「自分たちでチェックアウト」を実行。受付カウンターに乗り込み、自分の部屋のカギを入れる袋をあさり、「返却済み」の書類にチェックを入れる。私は悪くないとひたすら言い聞かせながらいざCTMへ!なんとかバスには間に合い、友人宅にも無事到着。友人のお母さんの温かいおいしい手作りご飯を食べてやっと一安心。モロッコで安心できるのはCTMと手作りのご飯くらいだぜ。

ところで「インシャ―アッラー」って日本語のある言葉に似ていると思いませんか? そう、「行けたら行くね」という、「持久走一緒に走ろうね」と同じくらい信用できないあの言葉。さんざん、この感覚あり得ない!とつづってきましたが、なんだかんだ日本も似ているのかもしれないですね。

 

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