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卒論体験記【宮﨑蓉子(文化創造論コース)】

私は「おもちゃと子どもの創造性について」という卒論を執筆しました。卒論というと、1・2年次からの研究を最終的に形にすると思われる方もいるかもしれません。実際に、入学時から研究を重ね、緻密で濃い論文を完成させる人もいます。しかし、私の場合、最終的に「おもちゃ」に決定したのは4年生の春でした(4年次に留学し、5年次に執筆しました)。テーマ決定が遅いから悪いというのではなく、「こういうプロセスもある」ということを知っていただければと思います。

「おもちゃ」をテーマにしようと思ったのは、単純におもちゃが好きだったからです。3年生の終わりまでは、大ざっぱですが、簡単に視覚化できない物事や人間の感覚と文化事象に興味がありました。関連授業は履修していたものの、いまいち没頭できずにいました。「おもちゃ」は小さい頃から何となく好きでしたが、はっきりと興味を抱くようになったのはドイツ留学の準備中です。ドイツは木のおもちゃの生産に非常に長けており、長い歴史と優れた技術を持っています。こうした、ドイツのおもちゃ事情を知る度に関心が高まり、留学中はおもちゃについて調べることにしました。

 

宮崎1

(ニュルンベルクのおもちゃミュージアム…広い部屋が5階まである。人形やミニチュアハウスは圧巻。)

宮崎2

(ゾンネベルクのおもちゃミュージアム→古代のおもちゃが多い。立派な雛人形もある。)

宮崎3

(ニュルンベルクのおもちゃ屋さん→ドイツのおもちゃ屋さんは、どこもわくわくするような商品配置がなされている。)

現地で得た文献を参考に、おもちゃの背景や歴史を勉強する一方で、おもちゃミュージアムやいくつかの街のおもちゃ屋さんにも足を運びました。世界最大級のおもちゃ見本市が開催されたり、おもちゃ関連のスポットを細かくまとめた本が出版されるほど、ドイツではおもちゃが広く親しまれています。留学中は、興味のままに様々なことを調べていたように思います。

帰国後は、留学で得たことを卒論に向けてどう絞っていくかが課題でした。主査の吉野先生にも相談し、最終的なテーマが決まったのは夏休みに入ってからでした。何度も検討を重ねて、少しずつまとまっていった印象です。テーマ決定の助けとなったのは、3年次までの興味・関心でした。おもちゃと組み合わせたら面白くなるのではと思い、「子どもがおもちゃと出会う(遊ぶ)ときに、その間では何が起きているのか」をテーマに研究することにしました。上手く論文をまとめるのは正直とても難しかったのですが、好きなテーマだったので、それなりに楽しく取り組めていたように思います。卒論に直接関わらないような内容でも、興味・関心がつながって、何らかの形でいつか助けになるかもしれません。今はまだテーマが決められないという人も、是非自分の興味やわくわくを大切にして過ごしてください。私はおもちゃが好きという理由で卒論を書きましたが、「自分が本当に好きなことをテーマにすると客観視できなくなる、いつか嫌いになって書けなくなる」と言われることがあります。対象そのものの批評をしたわけではないので分かりかねる部分もありますが、私は純粋に好きで深く知りたいという気持ちがあったからこそ、最後まで書けたのだと思っています。

 現在、私は都内の玩具店に勤務し、お客様の相談に乗ったり、子どもたちと一緒に遊んだりしながら、どうしたらおもちゃ・あそびの可能性をより広げられるかを考えています。実際におもちゃと関わることで、これまで見えていなかった新たな視点に気づくこともあります。卒論で見つけたテーマは、この先もずっと研究していきたいと考えています。私にとって、卒論はスタートです。

宮崎4

(現地のミュージアムやおもちゃ屋さんに関する情報をまとめた資料)

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