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卒論体験記【文化創造論コース】

中村美月(2021年度卒業)

 

 私は、「フィクション映像作品における人工知能の描かれ方の日米差異:宗教観を参考に」という題目で卒業論文を執筆しました。うまく進められたと思うポイントもあれば、反省点も多くある執筆プロセスでしたが、私の体験記が今後卒論を書く方々の参考になれば幸いに思います。

 

テーマ決め

 何でも学べる学類だからこそ軸を定められない「比文迷子」が大量に発生する比較文化学類ですが、私はかなりはじめの方から、ある程度興味の方向性が定まっていたように思います。民俗学に興味を持って入学したのですが、1年次に受けた映画に関する授業をきっかけに、元々好きだった洋画を卒論の材料にしたいとぼんやり考えていました。しかし、研究テーマ自体は見つけられていなかったため、3年秋までは宗教やジェンダー、芸術など、自分の興味にただただ従いながら単位を確保していました。

 その時点では「洋画にあらわれるキリスト教的な表象について興味があるな」と思っている程度だったのですが、情報系の人と話したりSF映画を多く見るようなことが重なり、人工知能の表現にキリスト教的な表象が多分に含まれていることに気が付きました。そこで、ロボットや人工知能といった技術が進んでいる日本における表現にも興味が湧き、上記の題目を決定するに至りました。

 

執筆過程

 テーマが決まったのは3年次の秋でしたが、その時点では人工知能についての工学的な知識はないに等しかったため、まずは文献をひたすら読み、参考にできそうなポイントをメモしました。また、メモを書き溜めるのと同時に、今後の課題や卒論の目的、目次の構成案などをまとめたノートを作り、考えたことを逐一書き留めるようにしていました。私は大きな情報や複雑な情報を頭一つで処理するのがとても苦手なので、随時考えたことを細かく書き留める習慣を作ったのは効果的な手段だったと思います。文献収集と内容の案をある程度固めるのが終わり、分析作品の選定に取り掛かれたのは4年次の8月のことでした。3年次の3月から4年次の6月にかけては就活で手いっぱいで卒論を放置していたため、もう少し早くに行動していればよかったと少し反省しています。

 8月からは、今までに見た中でテーマに合いそうな作品を見返したり、新しく作品を探したりして、2か月程を作品選定に費やしました。その際には、見たときに思いついたことを忘れて何度も見返すことにならないよう、視聴しながら同時進行で気になったポイントをひたすら打ち込むメモを作りました。

中村卒論

 本文の執筆に取り掛かったのは、中間発表会が終わった10月の頭でした。そこからは今まで書き溜めたメモを参考にしながらひたすら書き進め、一節書きあがるごとに主査の馬籠先生に添削コメントをいただくというのを繰り返しました。1週間おきにいくつもファイルを送ったにも関わらず、大量の誤字に至るまで丁寧に指摘していただいた先生には頭が上がりません。

 

最後に

 これほど長期で計画を立てて何かを進めるという経験が今までほとんどなかったので、かなり勢い任せの執筆になってしまったなと大いに反省しています。ですが、新しく文献を読んでいる時に昔受けた授業の学びと繋がるものを見つけたり、ひたすらキーボードを叩いている最中に突然新たな気付きを得たり、苦しいながらもとても楽しい経験でした。拙い文章に沢山アドバイスを下さった先生や、ひたすらパソコンにかじりついている私を励ましてくれた周りの方々に感謝します。

 

【指導教員からのコメント】

中村さんの卒論は、複数の学問・芸術領域を大胆に横断する形の議論になっています。比較文化学類ならではの卒論と言えるかもしれません。小説を土台とした映画制作、人工知能、日米の差異、宗教観など、どれを取っても、それだけで大きなテーマとなるものですが、その1つ1つについて、扱う範囲や焦点を具体的に絞りながら、見事に複数の領域やテーマを関連付け、豊かで説得力に満ちた魅力的な議論を展開しています。(馬籠清子)

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