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卒業論文についてAbout the Graduation Thesis

文化人類学コースでは、できるだけ3年生のうちにテーマを決め、卒論に取り組みます。卒論のためには自分で調査をする必要がありますが、その過程でフィールドワークを行うことを推奨しています。テーマに合わせて指導教員がつきますが、卒論ゼミでの指導はコースの教員3人での共同で行います。

平成28(2016)年度
2017年1月10日に発表会を行いました。今年は7人の学生が卒業論文を提出し、それぞれ30分間(10分説明、20分質疑応答)の口頭試問を行いました。

以下はタイトルと概要です。

  • T.K.くん「ホームレスたちの生き方」・・・留学先で出会ったホームレスのことを出発点に、東京で暮らすホームレスの人々に長時間のインタビューを行い、彼らから見える(彼らだから見える)世界を浮かび上がらせようとした、読み応えある論文でした。
  • S.T.くん「新疆・フェルガナ間の越境の諸相:コーカンド・ハーン国史料から見たカシュガル・ホージャ家の活動」・・・中央アジア・フェルガナ地域において19世紀前半にカシュガル・ホージャ家と呼ばれた集団は何をしていたのか、彼らの活動はその時代の人々の移動・越境にどのような影響を与えたのかを史料から明らかにした、歴史学的に完成度の高い論文でした。
  • H.T. さん「ゲストハウスにおける人・モノ・場所の関わり」・・・長野県のあるゲストハウスに一カ月以上住み込んで人類学的なフィールドワークを行い、なぜそのゲストハウスが人が集まる場となっているかを論じた、厚みのある論文でした。
  • Y.H.さん「中央ユーラシアの英雄叙事詩の馬・剣:『ウラル・バトゥル』を事例に」・・・中央アジアの口承文芸、なかでも広く伝わる英雄叙事詩を取り上げ、バリエーションにも目配りしながら、英雄の持つ馬と剣という二つのモチーフがどのように相互に関わり合っているのか、そこから何が見えるのかを論じました。
  • I.M.さん「現代日本におけるプラネタリウムの役割とその変遷について」・・・世界で見ても有数のプラネタリウム大国となっている日本において、プラネタリウムはどのような歴史があり、いま政策・運営する人と見に来る人は何を思ってプラネタリウムに来るのかを論じました。
  • H.M.さん「モノから見る現代社会」・・・消費社会、情報社会としての現代社会について、2016年に流行した「ポケモンGO」を事例に、新聞の記事分析からモノは人にどのような影響を与えているのかについて論じました。
  • C.Y.さん「バリ伝統文化の日本での受容と表現」・・・インドネシア・バリ島の伝統的な舞踊を踊る日本人に着目し、なぜ彼らが異文化であるバリ舞踊を踊るのかについて、中心的な人々へのインタビュー、および阿佐ヶ谷バリ舞踊際に関わるフィールドワークを通じて明らかにした、A4で80枚を超す力作でした。

 

平成27(2015)年度
卒論20152016年1月14日・15日に発表会を行いました。最大で20人を超える参加者があり、真剣な質疑応答が行われました。

以下はタイトルと概要です。

  • I.Y.くん 「茨城県北部地域への移住:理想のライフスタイルを求める移住者の「『ものがたり』性」・・・会社員生活などをやめて常陸大宮に移り住んだ方々にじっくりお話を聞き、その「語り」に現われるものや現われないものについて考察しました。
  • U.Y.さん 「愛知県知立市知立まつりの民俗学的研究」・・・地元の知立まつりを題材に、祭を行い続けることや形に変更を加えることについて、祭に関わる様々な立場の方からお話を聞き、祭のより深い理解に迫りました。
  • O.M.さん 「『津軽三味線』は『伝統』文化か」・・・学生生活を通じて実践してきた津軽三味線について、歴史をたどり、また現在の演奏の場でフィールドワークし、これが伝統と言えるとしたらいつからどうそうなったのか、について考察しました。
  • O.H.さん 「祭における擬死再生の儀礼:埼玉県秩父市のジャランポン祭を事例として」・・・とてもユニークな儀礼である「ジャランポン祭」をフィールドワークし、現場に起きる「笑い」に着目して、この祭りの意味について考察しました。
  • K.S.さん 「現代人が妖怪に投影するもの:妖怪漫画における『見える人』の立ち位置から」・・・世相を反映するものとして妖怪漫画を分析し、「見える人」と周囲の人々や妖怪との関係性の中に現代社会の人々の理想や不安を見いだしました。
  • S.K.くん 「東日本大震災における復興ツーリズム:浜風商店街を中心に」・・・いわき市の浜風商店街での聞き取り調査を中心に、商店街を取り巻くジレンマや、持続的なつながりのための取り組みについて論じました。
  • N.M.さん 「地域活性化のためのYOSAKOI:『地域性』の意識」・・・自らも所属する茨城県内のあるYOSAKOIチームを事例に、チームというコミュニティに属し踊ることと地域とのつながりについて考察しました。
  • M.J.さん 「瞽女の研究」・・・助成盲目芸能者・瞽女(ごぜ)という存在に注目し、その歴史を丹念にたどるとともに、現在瞽女唄が披露される場にも足を運び、両者の比較を通じて瞽女というもの、および彼女らを取り巻く社会の変化を考察しました。

 

平成26(2014)年度

  • 生活世界としての仮設住宅 ―居住者の実践に関する考察― (宮城県石巻市の仮設住宅で調査)
  • 祭礼の担い手としての離郷者 ―十日町大まつりを事例に―  (新潟県十日町市で調査)

平成25(2013)年度

  • 作り上げられる「デイサービス」 ―利用者、職員の実践から― (つくば市近辺のデイサービスで調査)
  • 現代ロシア社会における口承文芸 ―家霊ドモヴォイ像変遷の考察― (ロシアへの留学経験をもとに研究)
  • がんと闘う人々の日常世界 (茨城県内のがん患者会などで調査)
  • 現代人形考 
  • ペチカとカマドの表象 ―日露の口承文芸における屋内の火― (ロシアへの留学経験をもとに研究)

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