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教員おすすめ図書Recommended Books by the Faculty

担当教員の専門に関連する、おすすめの図書を紹介します。

徳丸亞木

■夏目漱石著『私の個人主義』講談社学術文庫271 1976年刊行

自律的に生きるということを考えたい時に。大正という時代状況の中でなされた漱石の講演をみなさんはどのように読み取るでしょうか。

■J.S.ミル著 竹内一誠訳『大学教育について』岩波文庫 2011年刊行

「教養」とはなにか。大学で学ぶ、教えるということは何かを内省的に考えたい時に。

■中井信彦著『歴史学的方法の基準』塙選書78 1973年刊行

4歳の春の日、白昼の空に星を見た柳田國男の方法論を、「同情」をキーワードとして、民俗学者の柳田論とは異なる視角から論じています。

■宮田登著『ミロク信仰の研究』新訂版 未來社1975年刊行

56億7千年後の未来に衆生を救済するために出現する菩薩であるミロクに対する信仰を歴史民俗学・比較民俗学の観点から論じた著作です。民俗学のみならず文化の比較を考える際にご一読をお勧めします。

塩谷哲史

■小松久男他編『中央ユーラシアを知る事典』(平凡社、2005年)、宇山智彦編著『中央アジアを知るための60章』(第2版、明石書店、2010年)

前者は事典として、後者は読み物として、いずれも中央アジアを知る上で必携の図書です。

■D.F.アイケルマン著、大塚和夫訳『中東―人類学的考察―』(岩波書店、1988年)

中東地域の人類学研究を網羅的に紹介した図書。ただし翻訳されているのは初版です。原著は第4版(The Middle East and Central Asia: An Anthropological Approach, Upper Saddle River: Prentice Hall, 2001)まで出ており、中央アジアもカバーしています。

■W.H.マクニール著、清水廣一郎訳『ヴェネツィア』(岩波書店、1979年)

著者は、グローバル・ヒストリーの生みの親の1人と言われています。書名は「アドリア海の真珠」と謳われた海港都市ヴェネツィアから採られていますが、内容は11~18世紀のヨーロッパの東(東方正教世界、中東イスラーム世界)と西(ローマ・カトリック世界)の文化・技術交流を、ヴェネツィアを軸に描いています。地中海の歴史のみならず、ヨーロッパという枠組みやオスマン、ハプスブルク、ロシアといった諸帝国の興亡、東方正教に関心のある人たちにとって、新たなテーマを発見できる示唆に富んだ図書といえます。

■宮崎市定『雍正帝』(岩波書店、1950年;増補再版:中央公論社、1996年)

著者は専門である中国史以外にも多くの著作を遺した東洋史研究者。ミクロな視点からマクロな視座まで、大胆な発想にもとづく明快な叙述に特徴があります。本書は清朝皇帝の日常生活から、人口の上で圧倒的少数の満洲人がいかに多数の漢人を支配しえたのかという問題までを幅広く叙述した名著です。

木村周平

■丸山淳子著、『変化を生きぬくブッシュマン:開発政策と先住民運動のはざまで』(世界思想社、2010年)

文化人類学者は長期のフィールドワークの成果として民族誌(エスノグラフィ)を書きます。エスノグラフィは対象についての多面的で生き生きとした記述で、その記述によって、読者はある種の常識(たとえば「日本人って○○だよね」「アフリカって××だよね」というような、一般に流通しているイメージ)を揺るがされ、現実について考え直すよう迫られます。この丸山さん(比較文化学類の卒業生です)の著作は、さいきん日本語で書かれたエスノグラフィのなかで、とりわけよいもののひとつです。扱われるのはアフリカのブッシュマン。日本から見ると、彼らについては全然情報がないか、あっても分かりやすいイメージでしか語られません。いわく、ブッシュマンはかつて好奇の眼差しを注がれ、しかし政治的には追いやられ、近年になって「先住民」として国際的な政治運動のなかに巻き込まれている・・・。彼らのもとで長期にわたって生活を共にし、調査をすることで何が見えるのか。彼らの目から見ると、彼らを取り巻く状況はどう見えるのか。そのなかで彼らはどのように生きていこうとしているのか。本書を通じて民族誌の魅力を味わってもらえればと思います。

■小田亮著、『構造人類学のフィールド』(世界思想社、1994年)

次に紹介するのは文化人類学の理論を学ぶための本です。文化人類学者はフィールドワークを通じて様々な議論、理論を提示します。そこには大きな流れもあり、歴史的に見ると、機能主義、構造主義、解釈人類学、象徴人類学・・・などいくつもの理論の体系があります。本書はそのうちのひとつである構造主義を中心に解説しながら、文化人類学の魅力を初心者にもわかりやすく伝えてくれる本です。やや古いので新規購入はできないかもしれませんが、図書館などで探してみてください。

■エマーソン, R., フレッツ, R., ショウ, L. 共著『方法としてのフィールドノート:現地取材から物語作成まで』(佐藤郁哉・好井裕明・山田富秋訳、新曜社、1998年)

最後に紹介するのは自分でフィールドワークをするための実践的な手引となる本です。フィールドワークのための手引はいくつも出ていますが、この本と、訳者である佐藤郁哉さんの著書がお勧めです。この本は「フィールドワークとは何か」などは議論せず、あくまでも実用的に、フィールドでどのようにノートを取り、清書をし、それを論文ないしレポートに仕上げていくかについて書かれていますので、フィードワークをする前にというよりは、実際にやって見ながら読むことをお勧めします。本書が対象とするフィールドワーカーはテーマ設定のレベルでやや限定されていますが、それに当てはまらない人でも読んで得るところが大きいと思います。

佐本英規

■スティーブン・フェルド著、『鳥になった少年:カルリ社会における音・神話・象徴』(山口修他訳、平凡社、1988年)

■ルース・フィネガン著、『隠れた音楽家たち:イングランドの町の音楽作り』(湯浅新訳、法政大学出版局、2011年)

■渡辺文著、『オセアニア芸術:レッド・ウェーヴの個と集合』(京都大学学術出版会、2014年)

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