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卒論体験記【文化人類学コース】

駒野樹(2022年度卒業)

 私は、「コロナ禍の学校現場における教育実践の現状と課題の考察:つくば市学校サポーターの活動を通して見る」という題目で卒業論文を執筆しました。学校サポーターとして「コロナ禍」にある小学校を支援しつつ、現場の教員がどのように学びの機会を保障しているのか、どのような問題を抱えているのかなどを具に観察しました。フィールドワークや文献調査、原稿執筆など、卒論を完成させるまでのプロセスは、なかなかに骨の折れるものでした。しかしそうした大変さはありつつも、それ以上に得るものは大きかったと感じます。自分が決めたテーマに対してじっくりと向かい合い、考えをめぐらせ、それを言語化するという一連の過程は、卒論執筆に限らず、あらゆる物事において必要でしょう。またフィールドワークを通して、実にたくさんの貴重な経験を得られ、素敵な人間関係を築くこともできました。その意味で、この度卒論に取り組むことができて、本当に良かったと感じています。

 

 卒論完成までのことを改めて振り返ってみると、様々な紆余曲折がありました。入学して間もない頃は、全くと言っていいほど研究の方向性が定まっておらず、いわゆる「比文迷子」の一人でした。「こんな感じで、4年次にきちんと卒論を仕上げることができるだろうか?」と不安に感じることもしばしばありました。

 ただせっかく学際性に富む学類に入ったのだから、「迷子」なりに、まずは様々な分野を放浪し、自身の視野を大きく広げることに努めました。多くの授業を履修し、大学内外でも様々な経験を重ねるなかで、興味関心がだんだんと絞られていきました。最終的に、文化人類学コースにて学校教育に関することを研究しようと決めたのは、2年次の後半ごろだったかと思います。しかし、研究分野を定めたのはいいものの、そこから具体的に何に焦点を当てていくのかを考えるのには、これまた苦労しました。研究の軸となる問題提起ができないと、研究や執筆に取り組むことができません。

 そんなこんなで色々と思案していた矢先に、コロナ禍に見舞われてしまいました。大学生活が大きく変わってしまい、何よりフィールドワークは行えるのかが心配でなりませんでした。そんなときに幸か不幸か、文部科学省が設立した「学校・子供応援サポーター人材バンク」の存在を知ります。コロナ禍で負担を抱える学校現場を支援するために設けられたものでした。教育に関心がある私は、その人材バンクにすぐに登録しました。そして2020年11月中旬から「つくば市学校サポーター」として、市内の小学校で活動を始めることとなりました。コロナ禍により様々な面で制限がかかるなか、こうした形で学校現場の内部に入ることができたのは非常に貴重なことでした。ゆえに、コロナ禍に置かれた学校現場の実情を軸に、卒論を書くことを決めたのです。

 それからは、フィールドワークで経験したことをノートにまとめ、関連する文献を探して読み進める日々が続きました。もともと効率良く物事を進められる人間ではないため、文献調査や情報収集には苦労しました。加えて4年次には教育実習や大学院入試もあったため、かなり切羽詰まっていました。本格的に執筆を始めたのも、9月下旬から10月頭くらいになってしまったかと思うので、改めて過去の自分に対して「計画的に進めなさい!」と喝を入れたいですね。

 提出までの2、3ヶ月は、まさに尻に火がついたように卒論に取り組みました。体力的にも精神的にもかなりタフな時期が続きましたが、毎週のゼミで先生方や友人らと進捗を確認し合い、議論できたのは本当にありがたいことでした。この場をお借りして感謝申し上げます。それと、執筆の合間に飲むブラックコーヒーにも、ありがとうと言いたいです。

 初めは書き上げられるかが非常に不安だった卒論ですが、最終的には無事に完成し、期限までに提出することができました。完成まで大変なことも多かったですが、印刷・製本された自分の卒論をいざ手に取ってみると、言葉に表せないくらいの達成感に包まれました。一冊に大学4年間の学びが凝縮されたのだと思うと、手前味噌ですが、実に誇らしい気分です。繰り返しになりますが、私の卒論に関わってくださった全ての方に改めて感謝の気持ちを伝えたいと思います。ありがとうございました。

 

 以上が私の卒論体験記となるのですが、今後は大学院に身を置き、また違う分野で研究に励んでまいります。比文での4年間で学んだことを生かし、精一杯学んでいこうと思います。拙い文章でしたが、私の記録がこれから卒論を書く方々の一助になれば幸いです。それでは失礼します。

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