前回の文学的で高尚な話から一転。世俗的でくだらない内容になりそうですが、比文にはいろんな人がいるんだなあと広い心で許してください。

 本日のテーマはこちら、「ダジャレ」です。巷では掛詞の成れの果てと言われているとか、いないとか。

　皆さんの身の回りにダジャレが好きな方はいらっしゃいますか?そうですかそうですか、それはそれは、可哀そうに。ダジャレは漢字で「駄洒落」と書きます。面白いことは世の中にたくさんあるのにわざわざ「駄目な洒落」をあまり好きという方はいないと思います。僕を除いて。いったい、皆さんの目の敵にされてやまないダジャレとはいったい何なのでしょうか。

ダジャレ一言で説明をしますと「複数の単語から表面的な類似性を見出し、結びつけたもの」です。くだらないと言われて久しいダジャレですが、ものは試し、いくつかの有名なダジャレを深堀りして、魅力を再発見したいと思います。

有名なものはやはり「ふとんがふっとんだ」でしょう。です。これは「布団」という名詞と「吹き飛ぶ」という動詞の過去形「吹き飛んだ」が音変化したもの、つまり「吹っ飛んだ」をかけたものでございます。皆さんは布団が吹っ飛んだ光景を目にしたことはありますか?僕は無いです。想像してみると、なんというか不穏な気持ちになりますね。布団って飛ぶの?そんな現実世界にはあり得ないようなことがダジャレの中ではあり得るのです。

お次は「ダジャレを言うのは誰じゃ」というものです。「ダジャレ」を並び替えると「だれじゃ」になるんですね。すごい。「ダジャレ」と「誰じゃ」をかけた上に、「自分がダジャレを言っているにもかかわらずダジャレを言った人の所在について問う疑問を提示している」という、実に高等なテクニックを使っています。主語を問う疑問文の体を取っていますが、実は誰にも疑問を提示していないという、存在そのものが矛盾なのですこの子は。問題と解答例を同時に配る感じテストといったものでしょうか。

また、「お前だよ」というツッコミが簡単に浮かぶので周囲の人がツッコミをしやすい環境を整えられるという、初心者にも扱いやすい一品です。笑いが取れるかどうか、保証はしませんが。

最後に紹介するのは「アルミ缶の上にあるみかん」です。このダジャレは本当にすごいです。発想の飛躍が一段と多くみられるダジャレです。皆さんはアルミ缶を見てみかんを思い浮かべられますか?アルミ缶という言葉から、突然の全く関係のないみかんへの流れ弾が激アツですね。ベストセラーになるのもうなずけます。わたくしも幼少期にこのダジャレを発見した時には、セレンディピティに震えが止まりませんでした。当時から変な人間だったんですね。

ただ残念なのが、「アルミ缶」と「あるみかん」の間に4文字も入って若干間延びしてしまっているところですかね。ですがこの4文字があるからこそ、「ふとんがふっとんだ」同様のシュールさを生み出すことができるのでしょう。アルミ缶の上にポツンとミカンが乗っているさまを想像してみてください。怖。

　いかがでしたか?普段つまらないと聴き流しているダジャレもこんなに魅力があるのです。人の数だけ人生があるならば、言葉の数だけあるのがダジャレなのです。出身地、興味、交友関係、すべての自分を取り巻く環境が、自分の考え方を形成しているというならば、ダジャレだって、その考え方から生み出されたもの。そう考えると、何やらいとしさが芽生えてきませんか?来ないですか、そうですか、すみません。

次ダジャレを聞いた時には、頭ごなしに否定せず、その単語にどんな技術、考え方、目のつけ方があるのか、考えてみてください。

愛のある「くだらない」を添えて、ね。

 *   *   * 

お次はゆるふわ天然、しかしギターが上手いA.S先輩です。どんなトンデモ理論が飛び出してくるんですかね。

• 2017年5月23日
• 印刷する