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No.6 「リアルとバーチャルのシンクロ――日本の「難民」問題?――」 K. O. (比文'13)No.6 “The Synchronization of the Real and Virtual—Japan’s Refugee Crises?—K.O. (College of Comparative Culture 2013)

「難民」という言葉を聞いたことがあるだろうか。戦争や飢饉などで母国を逃れざるを得なかった人々という意味での難民ではない。私の言う「難民」とは「日常系アニメ」の最終話を見終わった後の喪失感に溢れる人々などを指すネットスラングである。「日常系アニメ」とはキャラクターが文字通りただ日常を送るというものである。その「ただの日常」ゆえにそこへ癒しや安らぎを求めてしまう人や、その世界にどっぷりと浸かってしまう人もいる。そして、そのアニメが最終回を迎えたとき、支えとなっていたものが消え失せ「難民」となってしまうのだ。そして「難民」は次の拠り所となる「日常系アニメ」を探し求めていく…。

かくいう私もその「難民」状態を経験したことのある1人の人間だ。高校受験の時、あまりに追い詰められていた私はそれまで見たこともなかったアニメに手を出した。それは女子高生が軽音部で過ごす日常を描くアニメであったが、私はそのアニメに完全に心をつかまれてしまった。13話でそのアニメは終わるのだが、そのあとの喪失感は今でも覚えている。まさに藁をもつかむ思いでインターネット上のそのアニメに関する情報を集めたり、原作のマンガを買ったりした。それから6年ほど経った今、ネット上で「難民」という言葉を見てなんということもなく意味を検索した私は驚愕した。まさかあの喪失感のある状態に「難民」という名前が付いていたなんて…。

私が中3の頃はそこまで「日常系アニメ」が盛んに放映されていたようには思えないが、今は常に「日常系アニメ」と呼ばれる作品が放映されているような状態である。「日常系アニメ」にどっぷりと浸かる人はどれほど癒しが足りていないのだろう…現実はそんなにも辛いものなのかと思う私。しかし就活という過酷な日常が控えている私にとって、再び「日常系アニメ」が支えとなる日も、「難民」になる日もそう遠くないのかもしれない。


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