Learning place学びの場

文化人類学/民俗学実習についてOn the classes of field works in Cultural Anthropology and Folklore

文化人類学/民俗学実習について 

 比較文化学類 文化人類学コースでは、春学期に文化人類学実習、秋学期に民俗学実習を開講し、それぞれの方法論に基づく調査指導と報告書の刊行を行っています。文化人類学実習は、文化人類学を専門とする木村周平を主担当とし、民俗学実習は、民俗学を専門とする徳丸亞木を主担当として、更に中央アジアにおいてフィールドワークを実践している塩谷哲史を副担当として、それぞれ調査研究に必要な技能を実践的に教育しています。

 文化人類学・民俗学・中央アジア研究とも、フィールドワークの実践を重視する分野です。もちろん、その方法論的な差異はありますが、本コースでは、それを 踏まえた上で生産的な学生指導を構築する事を試みています。未だ道半ばではありますが、その成果が本実習に参加した学生の皆さんの研究に生かされる事を期待したいと考えています。 

文化人類学実習

 文化人類学実習は、2013年度は茨城県つくば市小田において祇園祭礼の調査を実施し、報告書を刊行しましたが、2014年度は、ふだん何気なく過ごしている日常の空間を見つめ直してみることを目的とし、参加者それぞれが自身で自由に対象(フィールド)を定めるるかたちで実施しました。参加者は自らの生活圏内を中心につくば市内にフィールドを見つけ、主に7月~8月のあいだにそこを複数回訪問し、インタビューと観察による調査を行いました。小田の大獅子

 文化人類学的なフィールドワークでは、あらかじめ質問事項を決めて臨むというより、現場で自分が抱いた「問い」を大事にし、それをじっくりとした調査を通じて探求して 行きます。そのためにはまず、現場で目を凝らし、耳を澄ませ、また自分と向かい合って「問い」に出会わなければいけません。そうした作業を行うためには調査期間がやや短く、苦戦した参加者も多かったようです。しかし、レポートはいずれも力の入ったものであり、自分の問いにどのように出会い、それがどのように明らかになったのかを、記述を通して明らかにしようと努力しています。参加者のフィールドは多岐にわたり、本報告書に掲載したもの以外にも、つくば市内のカフェ、参加者の出身高校や、所属するサークル・部活、あるいはコンビニエンスストアなどが含まれています。参加者による考察は独自のものであり、 ひょっとしたら受け入れてくださった方のご意見にそぐわないものになっているかもしれません。また、参加者が短い時間のなかできちんとお話を受け止めきれず、誤ったことを書いてしまっていることもありえます。しかし、この実習は、あくまで調査を自らやってみることを重視し、担当教員の責任で、そうしたことの可能性を受け入れることにしています。(実習報告書「はじめに」より)

民俗学実習

 石徹白1-1民俗学実習は、2012年度の群馬県川場村調査、2013年度の茨城県北茨城市平潟港調査を経て、2014年度は、岐阜県郡上市白鳥町石(い)徹(と)白(しろ)地区において民俗調査を実施しました。11月末と1月末の2回、それぞれ参加者を分けての実施となりましたが石徹白の晩秋の景観と豪雪の最中にある景観それぞれを見る事となり、特に2メートルを超える豪雪地帯での冬の調査は、参加者全員が初めてのものであり、そこでの生活や、行政による除雪作業の重要性について深く考えさせられる事となりました。

 石徹白の調査においては、地区公民館長、石徹白地区地域づくり協議会、石徹白自治会長、郡上市教育委員会のご協力を得て、昭和6年生まれから21年生まれまでの10名ほどの地区のみなさんに、参加学生それぞれが聞き書き調査を行いました。ほとんどの参加学生にとって民俗調査は初めてでしたが、石徹白の皆さんの暖かいご配慮により、修験道の中心的な聖地の一つである白山中居神社や、神道式の信仰生活と浄土真宗の信仰生活、焼畑耕作や馬の飼育、雪に閉ざされた季節の食生活、男女の付き合いや結婚、死者をおくる葬送の儀礼など地区の生活に関わる様々なお話をお聞かせいただき、また、1月の調査では、宿泊した民宿のご主人と奥様に地区の民謡を謡っていただき、肉漬けという発酵食をごちそうになるなどフィールドワークを行わなければ決して知る事のなかったものごとについて、実感を伴って記録する事が出来ました。

 石徹白のみなさんにお話を伺う


アンケート

筑波大学 比較文化学類ホームページをより良いサイトにするために、皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。
なお、この欄からのご意見・ご感想には返信できませんのでご了承ください。
In order to improve the website of College of Comparative Culture at the University of Tsukuba, we would like to hear your opinions and thoughts.
We cannot respond to your opinions and thoughts. Thank you for your understanding.

Q.このページはお役に立ちましたか?
スマートフォン用ページで見る