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No. 19 「ダイスキだったらダイジョウブ!」 千秋晴一朗 (比文‘15)No.19 It’s Okay if You Love it! Seiichiro Chiaki (College of Comparative Culture 2015)

リレーエッセイの題はしりとり形式なので、私は「だ」で始める必要がありました。その際にこの題とその他に「Darng!」とか「Dancig sars on me!」とか候補はあったのですが、題に沿った内容が書けそうという点(と時流)でこの題にしました。というわけで読者の皆様におかれましては、今回は題ありきで内容を書いているということをご承知おきください。あくまで個人のエッセイということもお忘れなく。

chiaki

世の中に「隠れオタク」というワードがあるのをご存じでしょうか。オタクというワードの意味を巡ってすでに昨今様々な定義がありますが、とりあえずここでは「何かに熱中・没頭している」状態、その対象その人でなく状態を指すことにしましょう。

さてその「隠れオタク」ですが、これは他の人――共通の趣味を持った人以外というケースが多いですが――に対して自分のオタク性を見せないようにしているスタイルと捉えていきましょう。ご多分に漏れず比文にも恐らく多くいらっしゃることと断げ…推測しますが、実際こういうスタイルをとる人は案外いらっしゃるんですね。

どうしてこういうスタイルがあるのか疑問に思ったことがある人はそんなに多くないんじゃないかと思うんです。なぜならそれはごく普通な一般通念――普通というには少々差別的・前時代的な環境が根底にできた社会を、我々が疑問に思わないような地盤があるからではないかと。

私の母なんかはいい例で、割と趣味に高尚低俗をとやかく言われた記憶は鮮明にあります。「その年になってまだそんなものが好きなの?」とか。親程度なら、ああ理解のないオールドタイプの人間なんだなで済むでしょうが、なかなかどうして同じ時代に育った世代でも似たようなことを仰る人も何人も見てきました。子供はみんなニュータイプ!じゃなかった…アニメじゃない、ホントのことだったのです。

こうして明文化してしまうと個人的な恨み節っぽいですが、「オタク性は表に出すのが恥である」「表に出すと棲み分けが行われる」と平然とのたまう連中は別に悪意でもなんでもなく割と本心なのでしょう。どだい人の歴史を振り返ったところで奴隷制もカースト制も、差別する側からすれば、あるいはされる側さえその歪んだ制度にしばらくの間なんの疑問も持ったはずはなかったのです。そういうシステムに似てるなと思います。冗談でもなんでもなく。

そうは言っても私自身も、最近はかなりそういう性を持つ者にとっても生きやすい環境になってきたようには思います。私のオタク性に合わせて例を挙げれば、様々な集団のなかにアニメ好きで鳴らしている人間はいるし、誰しも好きな漫画…コアな一冊を語りだしたりするし、我々の代の学類の新歓委員長様も学類紹介PVの中で「ラブライバー」であるとの紹介を受けていた記憶があります。そういったように、やはり今の世代は年齢を重ねてもそういった文化に寛容になっているのではないか、とか。 

そろそろ結びに移らないと、というところですが、別に私が主張したいのはこれまで述べてきたようなオタク性を否定してきた環境の系譜を継ぎ続ける皆様に対して今すぐ態度を改めろとかそういうことではないのです。むしろそういう人たちがこれからの社会でずっとそういう態度をとり続けるのか興味深い案件ですらあります。

モノ申したいのはその環境の餌食になって隠れオタクスタイルをとる風潮です。が、こちらも否定してかかろうというわけじゃなく、単なる疑問です。自分が好きなものが否定されている――正しくは否定されていると自分で思い込んでいるままでいいのか、と。オープンにしないことで守りたい社会性って自分の「好き」を隠してまで阿る価値のあるものなのかと。

僕の場合は、一定のTPOを弁えさえすればオープンにしているつもりです。そうすることで出会えた人や物事もありますし、人脈作りがどうこう一期一会が云々と謳う軽いものよりずっと価値あるものを得たくらいの実感はあります。

界隈用語で「布教」と言いますが、自分の好きなものをそれに詳しくなかった人にアウトプットしていくのもされるのもきっといい発見があると思います。私自身(こいつは絶対こういうの興味ないだろうな…)と思っていた大学の友人を見事に某コンテンツの魅力に気付いてもらうことに成功しまして、そのこと自体私にとっても大きな嬉しさや励みになっています。書いていて気づきましたが某コンテンツと隠しているのはこのエッセイの趣旨に反していますね、やめましょう。『ラブライブ!』というコンテンツなんですが興味ある人是非話振ってみてくださいね。

好き放題語ってしまいましたが、読んでくださった方が明日から今日よりもっと声を大にして「好き」を「好き」と言えるようになっていたら幸いです。ダイスキだったらダイジョウブ!

 

 

次回を綴ってくださるのはM.Kさんです。鮮烈過激な語り口を期待しています。

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